第163回まちなかリボンサロンでは、島根大学医学部附属病院 乳腺センター 角舎 学行 先生をお迎えし、「自分でできる乳がん治療 〜乳がんにならない生活習慣〜」をテーマにご講演いただきました。
角舎先生は、がん予防について「特別なことではなく、日常の積み重ねが重要」と語り、乳がんを含むがんの発生メカニズムや、私たちができる生活習慣の工夫について、わかりやすくご説明くださいました。
まずは、「がん細胞は毎日私たちの体で生まれているが、免疫機能がそれを排除している」と話されました。とくに、がん細胞の排除には「自然免疫」と「獲得免疫」の両方が関与しており、体内の異常を早期に発見し、適切に排除することで健康が保たれているとのことでした。
こうした免疫力は、加齢やストレス、生活習慣などによって低下していくため、規則正しい生活、睡眠、運動などが重要であると強調されました。
続いて、乳がんのリスク因子について解説がありました。
乳がんの発症には、大きく分けて「環境因子」と「遺伝的因子」が関わっています。環境因子としては、飲酒・肥満・運動不足・喫煙などがあげられ、日常生活で見直すことが可能です。一方、遺伝的因子には、BRCA1やBRCA2といった遺伝子変異が知られており、家族歴がある方は特に注意が必要とされます。
また、「女性ホルモン(エストロゲン)に長期間さらされること」がリスクの一つであることから、初潮が早い、閉経が遅い、妊娠・出産・授乳歴がない、といった背景も乳がんの発症に関係すると説明されました 。
さらに、乳がんの発生メカニズムとしては、遺伝子の変異、細胞の異常増殖、免疫による排除の失敗が関与しており、これらが複合的に重なることでがんが発症するとされました。
そのうえで、乳がんリスクを下げるために推奨される生活習慣として、次のような行動が紹介されました。
体重を減らすこと:閉経後の肥満は乳がんリスクを上げるため、適正体重の維持が勧められました。
運動を習慣化すること:日30分程度の運動(散歩等)により、全死亡率、乳がん死亡率ともに大幅に低下するという研究結果が紹介されました 。
また、乳がんは比較的若い年代から発症する可能性があるため、「25歳ごろからセルフチェックや乳がん検診などを意識することが大切」と話されました。特に定期的な検査によって早期発見につながるため、自覚症状がなくても受診する習慣づけが重要です。
講演の締めくくりには、「食事を工夫してダイエットすること、一日30分の運動をすることを努力して続けて欲しい」との言葉がありました。日々の積み重ねが、乳がんを含むがん予防に確実につながるとの前向きなメッセージが印象的でした。
次回、令和7年9月6日(土)の第163回まちなかリボンサロンは、東京医科大学病院 栄養管理科 丸山 佳純 先生に、「乳がんと向き合う食事 ~あなたの体を支える栄養の力~ 」をテーマにご講演いただく予定としております。詳細が決まり次第、改めてホームページ上でお知らせいたします。